どうか奇跡が。

真夜中にけいれんを起こしたチャムは立ち上がることもできず、何かを必死に訴えるんだけれど、僕はその気持ちを察してやることができず…先生は『たぶん今晩がヤマです。』と言う。何が起きているのか、何でなのか、僕はさっぱりわからず、夜中だというのに友だちに電話をかけ怖さをぶつける。けいれんを抑える薬でいったんは眠ったものの、けいれんが起こると言うことはかなり重篤な症状で、いつまた起こるか。何としても僕は最期だけは家にいさせてあげたい、と言う思いで、先生にけいれん時の対処方法を教わってチャムと一緒に家へ戻り…
朝方、大きなけいれんが起こり、あわてて薬液を流し込むと少し落ち着く。2時間ほどしてトイレに行きたかったのか、立ち上がれないのに、這うようにトイレへ向かうチャム。途中でもらしてしまったけれど、そんなことに一生懸命にならなくたっていいんだよ、と僕は必死にチャムに話しかける。病院に電話をして、もし何もできることがないのであれば、このまま家で過ごさせてあげたいのですが、と言うと、もしかしたら、まだ望みがあるかもしれません、と院長先生の言葉。僕はその言葉にすがるようにして再びチャムを病院へ。

チャムは今、病院にいます。夕方、病院に行くと、先生は明日まで大きなけいれんが起きなければ、少し回復するかもしれません、と。ただ、チャムちゃん、目が見えていないようです、と。猫って何てすごいんだろう。猫って何て優しいんだろう。チャボの時も猫の神様はチャボと僕に一週間お別れの時間をくれた。もう回復しないとわかってからの一週間。あの時間がなければ僕はきっともっともっと気が変になっていたかもしれない。どうかチャムに奇跡が起きますように。どうかもう一度、この部屋で一緒に暮らせますように。しばらくはまた電話に怯える生活になります。怖いです。心底怖いです。チャムに残された時間の中で、どうやってチャムに恩返しをしたらいいのか、僕はさっぱりわからずにいます。明日の夕方、また病院へ行き、これからのこと話し合ってくる予定です。僕はもう何をどうしたらいいのか、何がどうなっているのか、さっぱり頭の中が混乱したままです。