元気、お前は幸せだったのかい?と、最後まで聞けなかったよ。

30日に口内炎の痛み止めの注射を打ってもらい、
その日と翌日は本当に穏やかな表情だったのに。
2日、仕事から帰ると心なしか元気がない。
僕が触っても逃げない。
逃げないどころか、おでこごっつんまでできる。
一抹の不安はよぎったけれど、深く考えることはしなかった。


翌朝、明らかに元気の様子がおかしい。
まっすぐ歩けていない。
チャムの時と同じだ。
慌てて病院に電話をかけ、休日診療のお願いをする。
その間も元気は苦しそうに空を見上げる。
電話を切り、急ぎ着替える。


元気をキャリーに入れるため、声をかけようとした瞬間、僕はガク然とする。
『元気!』
『元気!』
何度も声をかけ、揺り動かす。
けれど、一切の反応がない。
とりあえず、病院へ連れて行かなくちゃ。
自転車を飛ばす。


先生は蘇生を試みてくれたけれど、元気の意識が戻ることはなく…


僕には夢がありました。
夢というのも変だけど。
みんなも知っての通り、元気は一切触ることのできない女の子でした。
今までも調子を崩しても思うように治療もできない子でした。
でも、この子もいつか弱るときがくる。
その時は優しく抱っこして病院へ連れて行こう。
あれこれ話しかけながら連れて行こう。
いや、もしかしたら、ずっと元気で、
隣に座って、日向ぼっこできる日がくるかもしれない。
そんなことを考えていました。
でも。
その一切が叶うことなく、元気は旅立っちゃいました。
ありがとうを言う時間すらなく。


元気は明日、火葬に連れて行きます。
今日は抱っこして、ベランダへ出て、最後の日向ぼっこをしました。
元気の大好きなお日さまをいっぱい浴びさせました。
少しは喜んでくれたかな。
少しは許してくれたかな。


車に轢かれてうずくまっていた元気を連れ帰った
あの年末の大騒動から9年半。
いろいろあったけど、元気、お前と出会えて嬉しかったよ。
お空にはお前の大好きなナナ兄ちゃんもいるよ。
またいつか会おう。
でも、その時はお願いだから、フーッ!シャーッ!しないでね。
ありがとう、元気。
ごめんね、元気。


チャムが逝ってしまってから、まだ半年。
それなのに、またお別れです。
昨日、今日と僕はさっぱり動けずにいます。
しっかりしなくちゃ、と思ってもだめで。
1Kの部屋に10ニャンがいた頃と比べると、どうにも部屋が広く感じられて
今だって十分賑やかなのに、でもなんだかぽっかりと穴が空いて
どうにも部屋が広くて静かに思えて。


2003年4月29日に写した大好きな1枚。
もう二度と戻らない時間。