さよなら、グルグルブラザー。

2008年から2009年にかけての年末年始、僕の家に福岡の友人が初めて泊まりにきたときのことです。玄関を開けて数分後、『いってぇー!』の叫び声。何かと思ったら、チャムがアゴをカプッと噛んだとかで、僕にしてみればどってことのない、あの子らしい歓迎のセレモニーだけれど、友人にはかなりのカルチャーショックだったようでした。*1
チャムとシロンパ君には共通点があって(やっぱり兄弟!)、それは布団に入ると、邪魔をしに来ると言うか、しつこく遊びに来ることで、シロンパ君は肉球を使って頬の肉をつかみ、チャムは顔をこすりつけてくる、というものです。決定的に違うことと言えば、毛布をかぶって隠れてしまえば、シロンパ君は諦めるんだけれど、チャムは毛布の中まで追いかけてくるということで、友人はチャムのしつこさにはいつもいつも苦笑いしながら困っていたっけ。その2人、いつものどをぐるぐる鳴らしながらのいたずらなもので、友人はいつしかチャムとシロンパ君をグルグルブラザーズと呼ぶようになりました。
昨日の夕方、そのグルグルブラザーズの片割れがお空へ旅立って行きました。僕のシャツにくるまって、隙あらば盗み食いをしていた大好物のインスタントラーメンと一緒に。塩分がすごいからだめって言っても諦めず、ちょっとよそ見をすると箸から盗んでいくようなおチャムならぬお茶目なやつでした。
1日の夜に突然、けいれんが起きてからの時間、いつ容態が急変するかもしれないかと思うと、情けないことに僕には重すぎて、胃が痛くて胃が痛くて、けど、チャムにそんな顔を見せようものなら、『パパ、つらそうだから、僕、行くね。』なんて言われちゃいそうだから、精一杯ガマンして。会社でのこと、道を歩いているときのこと、何を食べたのか、とか、時間の流れがふわふわしてさっぱり記憶になく、僕の記憶にあるのはチャムのことばかりでした。小春やサンタの遊んでー、の甘え声にも反応できず、あいつらには本当に寂しい時間だったと思います。
ナナちゃんがその存在感で我が家の中心だったとしたら、チャムはその性格と雰囲気で我が家の中心でした。誰にも喧嘩を仕掛けない、ちょっかいを出さない、本当に性格のいい、常に誰かが寄り添っているような、人間だったら誰からも好かれる感じだな、と思わせるヤツでした。きっと誰がいなくなっても、その抜けた穴は大きいんだろうけれど、チャムの抜けた穴、何だかその空洞のでかさに僕はやっぱり苦しいです。あのヘチャムクレにもう会えないのかと思うとやっぱりどうにも苦しいです。

僕の家に来たばかりの頃はこんなに小さかったんだっけ。

チャボ、ペコ、小春を迎え入れると、しっかりとお兄ちゃんに。

まだ『元気』がいない頃だけれど、トットワールドが全員集合。戻れるものならって、願わずにいられないよ。

papaが大好きな1枚。こんなにかわいいのにヘチャムクレだなんて、もしかしたら怒ってたのかな。
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週末、病院へお礼に行かなくちゃ。院長先生にありがとうを言わなくちゃ。一度は諦めた命を助けてもらって、そのおかげでpapaはお前と最後の2週間、本当に幸せな時間を過ごすことができたんだもんね。甘エビを嬉しそうに食べる姿、猫じゃらしにゆっくりとだけれど反応する姿、日だまりで嬉しそうにくつろぐ姿、その全てが嬉しくて涙が止まらなかったよ。時間の流れが濃すぎて、時にくじけそうになったけれど、この時間も長く続かないんだって思うと、へたりこみそうになったけれど、それでも本当に幸せだったよ。13、14日はお前の大好きだったブラッシングをしてあげると、目を細めて嬉しそうにしてくれたっけ。トイレで起き上がる以外はずっと腕枕で寝てくれていたね。最後の最後、お前の見せてくれたこの表情、この顔を僕はずっと忘れない。

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チャム、12年間、いっぱいの大好きをありがとう。いっぱいの幸せをありがとう。最後にナナ兄ちゃんの時と同じ言葉をお前にも贈らせてもらうね。『またね。』
うん、また会おう。またいつかトットワールド全員集合だ。その日まで、さようなら。さよなら、グルグルブラザー、さよなら、チャム。
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ブログを書くのは、もう少し、気持ちが落ち着いてからにしようかとも思ったんだけれど、張り詰めていたものが切れて、情けないけれど、僕はこれからたぶん今まで以上にふわふわしてしまいそうな気がします。なので、昂ぶった気持ちのままで、文章が変かもしれないけれど、早めに書いておくことにします。
最後に、この2週間いただいたコメントへの返事をさせてください。
ちゃとらんさん、初めてチャオ君の写真を見せてもらったときのことを思い出します。チャムにそっくりで(特に足の長さが)、いきなり親近感を抱いてしまったような。そのチャオ君は変わらず元気ですか。ななちゃんも元気にしていますか。どうか厳しい北国の冬に負けずに元気でちゃんとらんさんと幸せな時を過ごせますように。また2人の元気な姿を見せてください。楽しみにしています。
リリーの母さん、何かあるといつも気持ちに寄り添ってくれる言葉をありがとう。いつも助けてくれて本当にありがとう。福岡は僕にとっても縁のある町になりました。先月も鈴懸の栗のお菓子を送ってもらって食べたんですよ。いつか福岡の町で会えたら素敵ですね。
キャリーちゃんのママさん、いつもブログを更新すると真っ先にコメントを入れていただいて、ありがとうございます。僕もですが、キャリーちゃんのママさんも、これからも精一杯守らなければならない命、いっぱいですね。どうぞ、これからもよろしくお願いします。
tamaさん、チャムはね、最期眠るような最期だったよ。それだけが、それだけが僕には救いです。この2週間の苦しさから解放されて、僕は一気に気が抜けてしまったんだけれど、これから少し時間が経って、冷静な自分に戻ったときがちょっと怖いかな。うん、ちょっと怖いです。
ゆかっちさん、そうだよね。1日に1度くらいの笑顔、頑張って作らなくちゃね。マックやトラマルたちにも泣き顔ばかり見せちゃってきたから、ここらでpapaは笑うこともできるんだよってわかってもらわないとね。ゆかっちさんとも長いお付き合いになりました。どうぞこれからもよろしくお願いします。
hajimeさん、お祈り、どうもありがとう。みんなが祈ってくれたおかげで僕はチャムと最期の最期、とってもすてきな時間を過ごすことができました。苦しかったけれど、きっとあれ以上の幸せはないんだって言うくらいの幸せな時間でした。本当にありがとう。
reeさん、僕は今の病院の院長先生と出会えたことで救われた部分、とても大きいと思います。たかが2週間かもしれないけれど、院長先生の治療で延びたその命、僕はこの2週間のことを忘れないと思います。仕事やプライベート、reeさんも大変だと思うけれど、まずはreeさん自身の体のことを第一にね。
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最後にチャムの何とも甲高い声の入った短い動画を。何故か1本の動画が2回繰り返されますが、ご勘弁下さい。

*1:この友人、実はすっかり猫にはまってしまい、今では外で猫を見かけると、立ち止まって話しかけるんだそうです。