タヌキと流星

1998年5月21日。トットが死んでしまった翌日生まれた4匹の猫。生まれたのは知っていたけれど、ボクの所へご飯を食べに来るようになったのはそれから2ヶ月くらいしてからだったかな。しばらくして性格も見えてきて、雄はツバメとなっちゃんと名付けた。いつもうるさく泣いていたからツバメ。もう1匹は誰彼かまわず懐いてしまうからなっちゃん。そして雌猫はタヌキと流星と名付けた。
4匹はボクが公園に行くとそれはそれは嬉しそうに、自転車の回りを走り回って喜んでくれて。あの頃はまだトラマルたちの母猫も来ていたし、本当に賑やかだったっけ。けどしばらくするとなっちゃんが来なくなり、ツバメも来なくなった。それまでものすごく人なつこかったツバメ、そのツバメがある日、ボクを避けるような仕草を見せ、その翌日から来なくなった。人間に何かされたんだろうか、と本当に悲しくなったっけ。
あれから10年、タヌキと流星は変わらず来てくれて、変わらずボクに甘えてくれて。けど……先週の土曜日のみぞれの日からタヌキは来ていない。泣きなくなるほど寒かったあの夜、みぞれの中でご飯を食べ、ボクが片付けをしている間にいつの間にか姿を消してしまったタヌキ、いつもだったら雨でも何でも最後までボクを待って、途中まで一緒に帰るのに。あの日だけは姿がいつの間にか見えなくなっていた。
今日、公園でみんなにご飯を上げて、流星と話をしていたら、流星がいきなり膝に乗ってきたんだ。小さかった頃、流星は毎日膝に乗ってくる甘えさんだった。けどそれもいつのまにかなくなり、いつしか抱っこすらいやがるようになって。その流星が膝に乗ってきた。何か思うところがあったのかもしれない。
まだ諦められない。もしかしたら体調を崩してじっとどこかで静かにしているのかもしれない。そんな風に思いながらも、もう二度と会えないのかもしれない。そんな思いもどこかで感じている。けど、、、10年は重すぎるよ。だってペコや小春よりも長いんだもの。
本当に外猫はいつ別れがくるかわからない。久しく忘れていたけれど、その日がきたら、もう取り返しがつかないんだ。だからといって、その日が来ても後悔しない接し方なんかあるわけもなく。
今年は暖冬だなんて誰が言ったんだ。ちきしょう。